

きっとすべてがベスト
~強度行動障害をもっと理解するための本~
ヒロイチホーム代表 佐藤弘江著
私とたいちは、ずいぶん前にパパと死別し、親子2人暗中模索で生きてきました。その中で得てきた経験や知見を、私たちのエピソードを通して綴っていきます。この本が、同じ強度行動障害のお子さんをもつあなたにとって少しのヒントとなり、これまでよりもポジティブで明るい道に気づくきっかけになれたら幸いです。
はじめに
「強度行動障害」とは、自傷行為や他者への攻撃、物を壊すといった、周囲に影響を及ぼす行動が頻繁にあり、特別な支援が必要な状態を指します。
彼らは、自分の思いが伝えられず、わかってもらえないので、ガラスを割ったりします。
自分のこだわりを遮られると、理由がわからず納得いかないので、物を投げます。
でも、これらの問題行動は、誰の、何にとっての問題なのでしょうか。
本書を読んで、その疑問の真相に、一人でも多くの殻に触れてほしいと思います。
目次
【序章】
パパの急死
遺された私と強度行動障害の息子
【第1章】
悪戦苦闘の子供時代
【第2章】
母親として図太くなる
【第3章】
グループホームをつくるということ
【第4章】
強度行動障害の支援
【第5章】
強度行動障害への理解を深める
【第6章】
この笑顔がこの先もずっと続きますように
いつも疲れて居眠りをしているお気に入りのソファーで、いつもと同じように眠ったまま息を引き取っていたパパ...。
突然のくも膜下出血でした。パパはまだ43歳。
あまりにも早すぎるお別れでした。
ああもう、私の背中にも目がついていたらいいのに。
私の手が4本あればいいのに。何度そう思ったかわかりません。
とにかく一日を無事に終わらせることで手いっぱいで、目の前のことをこなしていくのに必死でした。
たいち、施設へ。
「少し遠いのですが、成田にある不二学園というところに空きがあります。どうされますか?」
こうしてパパを亡くして約2ヶ月で入所先を決めることができました。
入れる施設がない!運命の高等部2年の夏
合うところが見つかるまで探すのではなく、たいちが安心して暮らせる、たいちに合った生活の場を、私がイチからつくる。もうそれしかない。死活問題なんです!
ついに卒業!おかえりなさい、たいち!
2014年3月にヒロイチホーム1号館がオープン、11月には2号館もオープン。
たいちは特別支援学校での6年半を卒業し、同時に不二学園も退去。いよいよ鎌ヶ谷に戻ってきました。
「一般的に」「普通は」ではなく、
「彼らはどうなのか」「彼らにとって何が起こっているのか」
自分とは異なる仕組み(感じ方、認識の仕方)であることを前提に、かられを見ることが重要なのです。
私たちは今も、週末親子の時間を楽しんでいます。どんなにホームが忙しくても、週末の時間だけは最優先で確保して、たいちとの時間を過ごしています。
それはたいちのため?もしかしたら私のためなのかもしれません。